ヤンキース松井秀喜バッティングArchives!?

~松井のワールドチャンピオンになるまでの軌跡を見つめていきます~

Hideki Matsui is on fire right now!!
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2004年、シーズン中盤、ミスを減らし打てる球を確実にヒットにする長年追い求めていたバッティングの感覚を掴んでいた。しかし、それはとても繊細で失いやすいものだとイチローは感じていた。

「あっ掴んだなと思うことは結構ある。何年もやっていれば何回もある。でも短い間で消えていってしまうこともたくさんある。一週間は良くてもその次の週は駄目でまた違うものを探してみたり、その繰り返しをするんですが。」

5月、6月と調子を落としていたイチロー。6月7日の試合、3打席凡退した後、イチローは自分のバッティングをビデオルームでチェックしたと言う。

「ポイントが全く取れていない。自分が打つべきポイントでボールを全く捉えられていない。」

最初の3打席、甘い球を捉え損ねたイチロー。試合中にビデオを見たのは、インパクトの瞬間に違和感を感じたからだった。

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「これは凄く際どくて、僕にとって難しい球であればしょうがない部分があるが、これはそうではないからね。どっかに見えるところに問題があるはずだと思った瞬間だった。右足の動き出しが物凄く遅い。右足が動かなかったら全部僕の動きは始まらない。右足ですべてが始まるので。それによってはすべての動きが遅れてくる。早くいく分には僕はグリップが絶対に残るバッターなので、そんなに問題にはならない。動き出しが遅れたということは、ボールを見ようとする意識が明らか。目で見ようとしている。」

右足の動き出しが遅いと気づいたイチロー。第4打席目は修正して臨んだ。

「この打席の時は、早く足を動かそうとしている。意識の中では。でも実際見てみるとそんなには早くなっていない。これは多分本来ならホームランにできるボールだけど。そんなに変わっていない。意識はしているが、足が動いてこない。悪い形になったものを直す難しさだね。これは。意識をしても体に染み付いた悪いものは、なかなか取れない。」

目ではなく体でボールを見極める。イチローは右足を意識しながら自分の形を取り戻そうとした。

6月11日の試合、ストライクゾーンを大きく外れたボールを振ったのは選球体が戻ってきた証拠だという。

「この時は動き出しが早く、ピッチャーからボールが離れてから、かなり長くボールを見れる状態になっている。何が悪いか分かれば、後は自分がプレーすれば結果はついてくる。そこには自信がある。」

今シーズン、イチローはホームラン数が増えた。これまで狙わないとホームランにはならなかったイチローには大きな変化だった。

「狙わないでホームランになることはあまり無かった。これまでの形だったら狙わなかったら絶対にホームランにはなっていない形。」

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ホームランが増えたのはフォームを修正したことにあった。右足が早く動き始めることで体のひねりが生まれパワーが引き出された。

「力を生んだわけではない。悪い時点から考えるとそう見えるかもしれないが、悪い時は力を自分で殺していた。狙わないでホームランを打った割合が増えて、ホームランを打てる可能性は広がったかもしれない。」

7月22日の試合。1球目のカーブに空振り。この空振りにベンチは渋い表情をした。

「あの時、100%真っ直ぐに絞っていた。しかし、カーブで左バッターの膝元に大きく落ちてくるボールだった。それを空振りしたのだが、バッターだったらおそらくそういうことって理解できると思う。100%真っ直ぐを狙っていてカーブが来た時に、とんでもない空振りをするということはよくあることなんですが、あれを当てにいくとまずい、それは凄くまずい。」

その後、2球目のストレートをホームランにする。1球目空振りしたことが2球目に活きた。

「1球目の空振りがあるということは、バッテリーは、真っ直ぐを待っているなと思うかもしれない。だけどピッチャーはカーブを投げてきた。で、ああいう形で空振りをしたから、だから次はカーブの意識も持つだろうなという判断がバッテリーにはある。だから、2球カーブは続けたくない。1球目だからあの空振りをしてくれたとバッテリーは思うかもしれない。じゃあ真っ直ぐでいこうという判断だったのだろう。1球見た球をイチローというバッターはインプットするという相手の判断があった。そこを僕はもちろん、この時考えていた。だからもう1球真っ直ぐを待った。それで心理戦に僕が勝った。」

8月調子を落としていたイチローは、相性の良いバーリーとの対戦で2安打し調子を取り戻した。

「相性のいいピッチャーからヒットが出ないとなると技術的に問題があるのかと考えかねない。ヒットが出て本当に良かった。」

過去5年で150本安打を達成するペースが一番遅かった。それでもイチローの200本を達成する自信が揺らぐことはなかった。

「200という数字に対して誰よりも強い気持ちを持っているという自信はあります。それを達成したいという気持ち、そこに行くんだという気持ち。イメージが出来ているという事ですかね。200のヒットに対してイメージできることが強み。」

9月30日、イチローはデビューから5年連続200本安打を達成。イチローは自らが持つメジャー記録を更新した。

「何かを達成した瞬間というのは、いつも"やった"という気持ちにはならない。ここ何年もずっと。どちらかというと、"あ~良かった"という気持ち。それは絶対にやらなくてはいけないことだとプレッシャーを与えているからだと思うのですが。そうなっちゃいましたね。」

今シーズンのイチローのヒットは206本。

「恐怖心だとか不安だとかそういう気持ちは抑えられなかったし、避けられなかった。それでも苦しい中でやらなくてはいけないという事を改めて知った。色んなストレスがあった中で200本と言うのが僕の中で唯一の支えでした。これがなかったらやってられないシーズンでしたね。」

昨シーズン、手にしたバッティングの感覚。206本のヒットを重ね、その感覚の確かさと実際にそれを打席で形にすることの難しさを知ったシーズンだった。

「感覚を失ったことはないですが、バッティングは常に動いているという事ですね。日々とは言わないが、ある時期が経つとなんかまた少しずつ変わっていかなくてはいけない自分がいたり、変わってはいけない部分が絶対あったり。動くんですよねバッティングというのは。これがバッティングは生き物である所以だと思います。これが難しいんですね、バッティングというのは。終わりがないというのもそういう所からきていると思うんですけど。常に意識をしているポイントというのが、常ににはならない。これをやっておけば大丈夫だというものが動いていくんです。それがバッティングだと僕は思っているんですけど。だから答えがないし終わりがない。」

5年連続200本安打、バッターイチローの誇り。

「力を出せば必ず到達できる。今年は力を出せなかったと思っているが、それでも超えていけた。ということは普通に力を出せれば、必ず到達できる数字という事ですね。僕にとっては。だから大きな自信になりました。これだけ思うようにヒットが出ない時期が続いた。それでも200を超えていけた。去年の262本のヒットで得た自信とはまた違う種類の自信ですよね。」

~NHK「日本人メジャーリーガーの群像」(12/25)より~
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イチローは、ボールを見る(選球眼)のではなく体で感じたい(選球体)という。イチローの悪い癖として、ワンバウンドの球を空振りする打席などが続くと、悪球に手を出したくないがためにボールを見ようとし始めてしまう。そうすると、イチローの動き出しのキッカケは右足のステップなのだが、その動作のタイミングが遅くなってしまう。タイミングは遅い、しかしボールは来ている、バットを出さなければならない。そのために腕を使おうとしてしまう。
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イチローの理想は、バットが返る前のボールに最大限力を伝えることが出来る状態で捕らえること。しかし、動き出しが遅くなると体勢が不十分な内に手だけが先に出て、バットが返った後、力が十分伝わらない状態で捕らえてしまう。動き出しの遅れによるこのバットの角度のズレが理想とは程遠い打球の原因となっていた。

5月6月に訪れたイチローの不振。その中で6月7日に放ったショートゴロでイチローはあることに気がつく。
ステップして腰を回していくが、普通は早く手が出ていく。出したくなる。しかし僕は出ない。イチローの本来の特徴として、ステップした後でも手が残るというのがある。つまり、早くタイミングを取ってもバットは出てこないから、泳がされたりすることはない。手が早く出てくる人は、対応できない。だからイチローはタイミングを早く取っても問題ないという。
手を残すという本来のバッティングを再認識したイチロー。それにより、早いタイミングで動き出してもボールが来るまで手を出さずに粘り、ボールを引き付け理想のポイントでボールを捕らえるようになった。

すると、ホームラン数が増加した。

「強くたたけるポイントで打てる確率が高くなったと感じた。」

去年(2004年シーズン)、タイミングはあれでも遅く、ボールをよく見ようとしているところがあったという。イチローは、来シーズン、今のフォーム、タイミングの取り方でいく。これが今の段階では一番いいと感じている。

~テレビ朝日「"イチ流"知られざるイチローの究極」(12/25)より~


・なぜマリナーズは弱いのか。

「基本的な考え方として、プロ野球選手である以上は、個人がないと成立しない。みんなが苦しい。個人もチームも苦しい時に、個人が全体を背負おうと思ったら耐えられない。言い方は悪いが、悪いときほど個人のことを考えるべき。それが力となって集まっていい方向に向かっていくという順番だ。実際チームメイトに聞いてみると本音は分からないがまずチームのためにどうするかをを考えるといっている。それでは僕は潰れると思う。」

・フライを取る際、グラブを最後まで出さずに最後にバッと出すことについて。

「あれはちょっとした僕のこだわり。外野手としての。プレーっていうのは、凄いプレーで人と差がつくんじゃないと思っている。それは凄い分かりやすくて、誰が見ても凄いっていうものは、僕は凄いことの定義から外している。当たり前のフライとかを取る際、人とは違う雰囲気でとか、グラブとボールの柔らかなタッチとか、そういうところで差が出ると僕は思っています。」

「守備のほうが可能性を秘めているしもっと出来るんじゃないかと思っている。」

・自らの役割について

「それぞれの立場ってあるじゃないですか。自分がチームの中でどれぐらいの立場にいるか。影響力のある選手がある程度やっぱり、本音でものを言えないといけないと思うし、それによって色んな刺激が生まれると思う。若い選手にもファンにしてもそうだと思うし。だから僕はそうなりたい。聞いているほうからすると、ちょっと聞き苦しい、厳しいことを言うなぁイチローは、といえるようなことも言わないといけない。昨シーズンは、1人で戦っていた。」

「僕も日本でやって、アメリカでやって次、将来的にどうやって日本の野球に、自分のやってきたことだとか学んできたことを返していくのかというのは考えている。」

~TBS「Jスポーツ」(05/1/22)より~

年末にきて各メディアで松井選手の特集が組まれていた。

松井秀喜ベースボールミュージアムにて松井秀喜の1号からこれまでのホームランカードを大きく引き伸ばしたパネルがありましたけど、あれを見て改めて思ったのですが、ホームランを打つ瞬間と言うのは、歯を食いしばっているか、ほっぺたを膨らましているかなんですね。

「全く意識してないんですけどね。やはり相当力が入っているんでしょうね。本当はガッと力が入るのはよくないんでしょうけどね。顔にね。本当はふざけたぐらいねリラックスした顔で打っていればもっといいんでしょうけど。それもね、まだまだこれからある意味では改良の余地があるという事なんですよ。いかにリラックスして打つかが問題ですから。顔も緊張していると僕としてはよくない。そういう意味では、ああいうものを見ながらもね、松井秀喜まだまだだ、こういうところが出来てないと思ったりもするんですけどね。」

~ニッポン放送「ショウアップナイターストライク」(12/19)より~


2005年オープン戦、松井自身は手ごたえを感じていた。そして、開幕直前のインタビュー。

「ファンの方の期待というのは、もう僕からしてみればどんどん期待してくださっていいし。技術的にだいぶ自信が持てるようになってきたんでしょうね。自分のバッティングに対して。だからこそ、特別何か、何かをやろうとかそういうものが無くなってきたんだと思いますけどね。」

開幕戦からいいスタートを切った松井。しかし、突然松井のバットから快音が消える。自己ワーストを更新する203打席ホームランなし。外角が打てない。打率も.260まで落ちた。チームも8年ぶりの最下位に低迷。決して泣き言を言わない男は、自分の中で苛立っていた。気分転換に車を走らせることも多かった。

「常に出来ることはやっているつもりですけどね。でもやっぱり勝たないとね。勝たないといけないですけど、勝たなくちゃいけないチームにいるし。全員がそういう気持ちでプレーしていかないと難しいでしょうね。特にこのチームは。自分さえよければいいだとか、そういう考えでやっている選手がいたら、もうチームは上手く行かないでしょうね。たぶん。ある意味特別なチームなんですよね。常に注目されているし、相手からも常に普段以上の力を引き出すわけですよ。やっぱり。ヤンキースというチームだけでね。相手がヤンキースというだけで。それを跳ね返していかなければいけないわけですから。なかなか1人でね、立ち向かっていけない環境だと思いますよ。例えば1人のスーパースターがいるとしますよね。そういう選手でも1人でヤンキースというチームを何とかし・・・。出来ないと思うな。僕は。まず歴史的にそうですよね。スーパースターは何人も出ているけど、そういうスーパースターと同じようなスターがまだいたりとかね。結局は、そのサポートのし合いが出来ていたからこそ強かったと思うんです。そういう選手達が、そういう気持ちを持っていかないと良くなっていかないような気がしますけどね。」

シーズン終盤の10月1日。

「ここに来て本当になんというか、チームとしての力がね出てると思いますよ。本来はね、自力が出ているということは、ある意味それは強い証拠だと思いますよ。この時期に来るというのはね。いいことだと思ってますけどね。苦しみましたけどね。」

シーズンが終了して。

「ある程度自信を持って開幕は迎えていたんですけど、開幕直後も非常にいい状態だったし、ある程度手ごたえを感じていたんですけどね。ホームランが打てると言う自信がどっかにあったんでしょうけど、相手もそう簡単に打たせてくれないという事ですよね。要は、ホームランが確率よく出るか出ないかそこだけだと思いますから、かっこよくいえば"見切って打つ"それぐらいの感覚がつかめるようになりたいですよね。まあこれは永遠のテーマかもしれないですけど。そのために自分はちょっとこういう風にしていこうだとか、アイディアは持っているんで、最初はそういうところから始めていきたいですね。」

~TBS「NEWS23・松井秀喜 05年の足跡」(12/19)より~


シーズン終盤、9月30日対レッドソックス戦直前のインタビュー。

「こういう試合をやるのは好きですよ。楽に勝てるのが一番いいけど、この時期にこういう試合が出来るのは30チームもあるけどほんの何チームしかいないわけでしょ。その中で自分がやれると言うのは幸せなことだし。気持ちは普段と一緒ですよ。ただ目に見えない緊迫感だとか雰囲気だとかそういうものが自然と自分の力に影響することは十分考えられるでしょうけど。」

気持ちは一緒。野球に於いて平常心を保ち、そう考えることが松井秀喜の夢に近づくためのキーワードだった。平常心でいられること、それは松井が普段から一番誇りにする部分だ。

~フジテレビ「すぽると・THE MESSAGE」(12/12)より~


ヤンキースの松井秀喜外野手(31)が20日、東京・神田のミズノ東京本社を電撃訪問し、2006年シーズン用のバットとグラブを発注した。すでに来季に向けて準備は着々だ。

この日昼過ぎに同社を電撃訪問。3時間以上もグラブ担当の坪田信義氏(72)、バット担当の久保田五十一氏(62)の"名人"と意見交換をしながら、来季用のバットとグラブを発注した。

「バットはまったく今年のものと変えませんでした。前年と比べて何もいじらないのは、プロになってから初めてじゃないかな」

プロ入り以来、毎オフ必ずバットに微調整を加えてきたが、2006年モデルは今季のバットそのまま。「それだけしっくりきていたということです」と今季使用したメープル素材、全長86・5センチ、重さ約900グラムのゴジラバットを来季も継続使用。今のところの"完成形"といっていい。

 グラブは「まわりが硬くて、中が軟らかいイメージ」と親指と小指の部分に芯を入れる微調整を加えた。来季の世界一を目指して、ゴジラの準備に抜かりはない。

~「サンケイスポーツ」(12月21日)~

これまでのインタビューとは一味違い、一歩も二歩も踏み込んで松井秀喜が本音を語っていた。


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「うん。まぁ残念なね、悔しいシーズンでしたね。まあ、一番印象に残っている一日なんですけど。一言で言えば力がなかったという事ですね。」

それは松井にとって決して忘れることの出来ない運命の瞬間。プレーオフ、ディビジョンシリーズ、最終戦。度重なるチャンスを活かせぬまま、迎えた9回。一打逆転という絶好のチャンスに松井は、ファーストゴロ。松井の一打で戦いの幕を閉じた。

―あの日の気分は?

「うーん。それはもう重いですね。まぁ打てなかったし、最後もチャンスで凡退で最後の打者になって、よりによって帰りの飛行機が故障してですね、NYまでの道のりも非常に長くてですね、最悪の一日でしたけど。
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あそこで何とかしてればね。後ろにつなげてればね。2球目のボール球のスライダーに手を出してしまったというね。あれが最後まで抜けなくてですね。そこであれをちゃんと見送れていたらね、もう少し違った打席が出来たんじゃないかなと思ったりとかして。もうどうでもいい細かいところまで考えたりしましたね。やっぱり。まぁ、どうでもよくはないんですけどね。」

確かに優勝は逃したが、今シーズンの松井は決して悪くはなかった。メジャー初の3割、3年連続の100打点、ただ一つホームランを除けば。

「まぁ、ホームラン意外はねそこそこだと思いますけどね。やはりホームランが減ってしまったというのは、ちょっと甘かったなというかねそういう感じがしますけどね。」

―甘かったというと?

「去年31本打って、普通に準備してやっていけばねホームランは打てるていうそういう自信がどっかにあったんでしょうけど、相手はそう簡単には打たしてくれないという事ですよね。僕は相手がどういう攻めをしても、基本的にはね、自分さえしっかりしていれば何とかなると思ってるんですけど。まぁ自分がしっかり出来なかったという事ですよね。やはり追いかけてしまったという事ですね。」

―追いかけてしまった?

やっぱりどうしてもその打ちたい打ちたいという気持ちが強くてね、ストライクゾーンに来たら打たなくていいボールまで打ってしまったという事ですね。何でこの球を打たなかったんだろうかというより、何でこの球に手を出しちゃったのだろうかというかね。日本にいた頃はね、もっともっと確率良く打てたし、まぁそれは普通にね感じることですけど。そういうバッターになれる可能性というのは持ってるつもりですけど。」

そんな松井の可能性をチームは最大限に評価した。およそ62億円での4年契約。日本人史上最高額という破格の条件。

「それだけね、チームが松井秀喜というプレーヤーにね、大きいものを期待している証拠だと思うし。色んなことを僕に期待してると思うんですよね。ある意味なんでも出来るというふうに思ってると思いますから。日本の皆さんは、そんなこと言うとがっかりするかもしれないんですけど、逆にホームランはあんまり期待していないと思うんですよ、トーレはね。僕に対して。ですから、なんでも出来るというところも見せていかなきゃいけないですよね。」

とはいえ、日本のファンが期待しているのはやはりホームラン。すべては来シーズン。果たして松井の追い求める理想のバッティングとは。

「ちゃんとその自分がやろうとすることをちゃんと出来るかどうかですよね。邪魔する要素は色々ありますけど、もちろん相手もあることだし。」

―具体的には?

「もうそれは、(頭の中では)出来ているんですけどね。あんまり細かいことまではいえないんですけど、理想とする感覚というかそういうものが、やっぱりありますから。一言で言えば、ボールを長く見れる感覚ですね。それを掴める事によって絶対対応能力は上がるし、強く振れるだろうし、かっこよく言えば"見切って打つ"。それぐらいのね、感覚が掴めるようになりたいですよね。これは永遠のテーマなのかもしれないですけど。アイディアをねもう持っているんで、最初はそういうところから始めていきたいなと思っていますけど。」

そしてもう一つ、松井にはかねてから抱いていた密かな夢が。

「僕個人的なわがままを言わせてらうと、正直センターをやりたいですよ。僕はセンターの方が好きなんですよね。一言で言うと好きだし、やはりヤンキースのセンターフィールダーといえばねジョー・ディマジオ、ミッキー・マントル、バーニー・ウィリアムス、そういう伝説のプレーヤー達がね感じていた空気というものをね、同じ空気を感じながらプレーするという事が、いいふうに作用してくれるんじゃないかと思っているんですけどね。」

―チームにはその想いを伝えたか?

「いや伝えてないです。言うのは別にいいんですけど、彼らの構想は彼らの構想ですから。やれと言われれば喜んでやりますけどね。」

それはメジャー3年目にして初めて口にした小さなわがまま。

~TBS「Jスポーツ」(12/4)より~


松井秀喜が語る飛躍への体と心。

▽体力が技術を助ける
▽"A・ロッド"を参考に
 ピンストライプのユニホームで頂点を目指し続ける。4年総額5200万ドル(約63億円)の大型契約でヤンキースに残留した松井秀喜外野手が、ニューヨークで来季の抱負を語った。

 11月16日、再契約した直後の会見で目標を問われると「毎日一番いい状態でグラウンドに立つ。毎試合、それを4年間続けられたらいい」と即答した。

-全試合出るのは簡単なことではないが。
「それができればいいものが出せる。当たり前のことでもあるけど、一番難しいことでもある。30歳を超えて、これから体力的にどう変わってくるのか。すごく大きな鍵になる。技術面も大切だけど、それ以上に体力面を大切にすることが、技術の助けになる」

 練習法や体調管理について「いつまでも"日本の野球"を続けない方がいい」と基本的にチームの方針に従ってきた。

-何か変化は。
「メンテナンスの大切さはより感じる。あまりマッサージも受けなかったけど、これからは考えないといけない。整体の先生に日本から来てもらっても、期間が限定されるので、定期的にもっといろんなことをやらなくてはいけない。こちらにいる人にもサポートしてもらわなくては、と考えている」

 日本時代は並ぶ者のない鉄人と言われたが、大リーグでは自分よりもタフな選手に圧倒されることもある。たとえば、同僚のアレックス・ロドリゲス内野手は全試合出場で打率3割2分1厘、48本塁打を記録した。

-"A・ロッド"のすごさは。
「体力的にはちょっと飛び抜けている。彼のすごさはそこでしょう。もちろん技術的にも素晴らしいんだろうけど、年間通じて体力的に非常に高いところを維持している。素質もあるが、練習量が豊富で、なおかつあれだけ元気というのは、すごい。普段の生活のリズムだとか、メンテナンスだとか、確かに興味がある。その辺をちょっと聞いてみたい」

 今回結んだ契約が終わる2009年秋には35歳になっている。

-そこから「もう一勝負できる」と言うのは。
「僕の中では35歳はそう。35歳だから落ちてくる時期だ、というふうにはとらえていない。今以上の状態を保っていれば、そこでまた勝負できる、と思っている」(


▽同時に3割30本100打点
▽左方向への意識を持つ
 初の打率3割を記録したシーズンだった。安打数、塁打、打点でも自己最多。だが、本塁打は前年から8本減った。米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜外野手は4年目の打撃をどう見据えているのか。

-数字上の違い(7厘)は大きくないが。
「違いはある。(3割は)打者にとっては一つの区切りになる。経験できたという意味ではすごく大きい。僕にとって良かったのは、最後までチームがギリギリの戦いを続けていたこと。だからこそ、最後まで3割という目標を感じない戦いができて、ああいうふうに超えていったのだと思う」

 日本では本塁打、打点のタイトルを手にし、9年目に首位打者を取ってから、三冠王狙いを公言した。大リーグでは1年目に100打点、2年目に30本塁打、3年目に3割を達成。

-次にくる目標は。
「すべての部門で、今までの最高以上のものを出したい。(3割、30本、100打点)すべてを経験した。これを1シーズンで出せるようになればいい」

-昨年は左への長打を意識したが、今年はそうは見えなかった。
「そういう意識はもう持たなくても大丈夫だな、と思ってしまった。でも、再認識させられた。やっぱり、大きいのを打つには(左への)意識は持っていないと難しい。来年へのテーマにする。外に逃げていくボールの方が、内に入ってくるボールより多いわけだから、レフトに強い打球を打つ意識を持てるようになればいい。

 日本で最後の4シーズン打率が上がり続け、50本塁打につながった。

-大リーグで3年連続打率上昇はいい兆候だ。
「そういうふうに思っている。いろんなことが分かってきたし、吸収できてきた。それで率が上がってきていると思うし、いい兆候だと思う。当たり前といえば、当たり前。率が伴わないで本塁打が増えるとは考えていない。二つはリンクしているもの。どちらかが上がって、どちらかが下がるのでなく、どちらも上がっていくものと考えている。

~(共同通信社・ニューヨーク共同)~


今シーズン、松井選手は絶好調時ある感覚を掴んでいるように見えた。以前松井は、「バッティングに絶対は無いよね。はっきり言って。これは間違いない。絶対はあるんだろうけども、それを掴んだとしても、それを体感できたとしても、いなくなる。ずっとはいてくれない。」と話している。そして今回、理想とするバッティングを松井選手はボールを長く見る間合い・タメを手にする感覚だと表現した。これはシーズン当初から松井が口にしていたこと。そして今シーズン、絶好調の時期に間違いなくこの絶対の感覚を味わっていたのだろう。それで松井選手は今シーズン取り組んで来たバッティングへのアプローチが、ある程度正しかったと手応えを感じたんじゃないかと思う。今季戦ってみて、確固たる根拠を元に、まだまだやれる、もっといい成績を残せるという自信がこのインタビューへ表れている気がした。来季は、大幅なバッティングの変更ではなく、今年掴んだあの感覚を更に追求していくという事になるのかなと感じた。

今季、調子を落とした時、松井選手は外角の球を追いかけ、結果的に引っ掛けて内野ゴロというのが目立った。インタビュー中の"追いかけてしまった"というのは、この外角への対応の仕方を言っているのだと思う。無理に追いかけることなく、しっかり見極めた上で、松井の形を崩さずレフト方向への強い打球(今シーズン、特に好調時に多く見られた)が増えていけばいいな。これを実現できるかどうかは、やはりいい状態でボールを長く見る感覚が不可欠となってくるのでは。

松井選手は今シーズン達成感はまるでないと話した。"一体俺は今年何をやっていたんだ"とまで表現した。 しかし来シーズンへの足掛かりはきちんと掴んだ実りあるシーズンだったように感じる。
来季に向け話す松井選手は、まだプロ野球に入りたての新人選手のように初々しく輝いて見えた。メジャー4年目まだまだ大きな可能性を秘めて来季への準備を進める。

最近の松井選手は、立ち振る舞いや発言の内容が、洗練され、また重みを増し、ますますかっこよくなってきていると感じる。いい年の取り方をしているなぁ。

<松井秀喜の2005年・カウント別打率>
0ストライク ______ .372 (188打数70安打)
1ストライク ______ .304 (181打数55安打)
2ストライク ______ .258 (260打数67安打)

2005年シーズン、松井秀喜選手が、ピッチャーの投じたコース別にどんな打撃結果が残っているのかを調べてみました。

すべての打席のデータは残っていなく、データが取れたのは、629打席中590打席。ヒットでデータが取れたのは、192本中191本。

ストライクゾーンを9分割しましたが、データを取るに当たって、1球、1球厳正にどのコースかを判別するのは難しく、かなり僕の主観が入ってしまっています。また、打球の飛んだ方向もセンターかライト、センターかレフトの判断がかなり曖昧です。そのため、今回示すデータがどれだけ信憑性を持っているかは、はなはだ疑問です。参考にもならないかもしれませんが、一応、折角調べたのでアップします。

以下に示す表は、コース別打率です。採取できたデータは、590打数191安打となり、打率は実際よりかなり高く、打率 .324となってしまうので、コース別打率も実際より高い値になっいると思われます。表の中、打率の横のカッコは(打数-安打)です。

<コース別打率>
in-hi mid-hi out-hi
.308 (26-8)
本塁打1
三   振5
.325 (40-13)
本塁打2
三   振6
.143 (28-4)
本塁打1
三   振7
in-mid mid-mid out-mid
.281 (64-18)
本塁打4
三   振4
.439 (98-43)
本塁打7
三   振3
.348 (92-32)
本塁打1
三   振7
in-low mid-low out-low
.395 (43-17)
本塁打3
三   振5
.342 (79-27)
本塁打3
三   振9
.242 (120-29)
本塁打1
三   振24


[out-mid]は92打席、[out-low]は120打席で2つ合わせると全体の36%になる。やはり相手投手は、基本的に外角低め中心の攻めだったことをうかがわせる。松井は、基本的にタイミングを外のストレートに合わせているという。
昨シーズンを振り返ってホームランが減ったことについて「追いかけてしまったという事ですね。やっぱりどうしてもその打ちたい打ちたいという気持ちが強くてね、ストライクゾーンに来たら打たなくていいボールまで打ってしまったという事ですね。何でこの球を打たなかったんだろうかというより、何でこの球に手を出しちゃったのだろうかというかね。」 と答えている。外角低め辺りの球を打った打席が多いのは、追いかけて強引に打ちにいった打席が多かったことにも起因しているのかもしれない。
来シーズンは、松井が外角の厳しい攻めに対してある程度我慢して、限界まで甘い球を待つ姿が多く見られるかもしれない。

[in-low]は、他のゾーンと比て意外に打率が高かった。松井は、左投手の肩口から入ってくる変化球を得意としていて、「肩口からのカーブは左打者は軌道がよく見えるんだよね。」と語っている。更に低めは、バットとボールの距離が十分に取れるためヒットの確率が上がるのだろうか。


以下に示すグラフは、コース別打撃内容の統計です。グラフの中のヒットの項目は、内野安打とホームランを除いた安打数です。

2005_in_hi 2005_in_mid 2005_in_low 2005_mid_hi 2005_mid_mid 2005_mid_low 2005_out_hi 2005_out_mid 2005_out_low


[out-mid]と[out-low]は、外寄りのコースにもかかわらず、非常にライト方向へのゴロが多いという印象。外角のコースに限ったことではないが、ゴロになる要因について松井は、右方向に強い打球を打とうとして強引になることを挙げている。その意識によって、バットが早く返ってしまう、すなわち本来バットをボールの下に打ち込まないといけないのが、手首が早く返ってボールの上っ面をたたいてしまうということだった。更に、右方向に強い打球を打とうとすることは、体の開きが早くなる一因にもなるのかなと思う。そして、それは対応能力の低い状態と松井は語っている。
このようなバッティングの崩れが、特に外寄りの球に対して強く出てしまうのかも。
シーズン中、外角の球を左方向への強く打てるかどうかが、調子のバロメーターになるのではないかと感じていた。体の開きがなく良いバランスでボールを捉えている時は、自然とレフト方向へ打球が飛んでいたのでは。

[out-mid]、[out-low]で打球方向別打撃結果は、以下の通り。

[out-mid]において
・レフト方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・・.368 (38-14)
・センター方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・.577 (26-15)
・ライト方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・・.143 (21-3)

[out-low]において
・レフト方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・・.361 (36-13)
・センター方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・.440 (25-11)
・ライト方向へ飛んだ打席の中でヒットになった割合・・・.143 (35-5)

このデータから外角への球を右方向への打った時は、極端に打率が低くなることが分かる。外寄りの球は、いかにセンターから左方向へ打球を飛ばせるかが、今後鍵となってくる。

松井も昨シーズンを振り返るインタビューで、「昨年(2004年シーズン)は左への長打を意識したが、今年(2005年シーズン)はそうは見えなかった。」という質問に「そういう意識はもう持たなくても大丈夫だな、と思ってしまった。でも、再認識させられた。やっぱり、大きいのを打つには(左への)意識は持っていないと難しい。来年へのテーマにする。外に逃げていくボールの方が、内に入ってくるボールより多いわけだから、レフトに強い打球を打つ意識を持てるようになればいい。」と語っている。 ここで重要なのは、「大きいのを打つには(左への)意識は持っていないと難しい。」という部分ではないかと感じる。左へ強い打球を打てる状態の時は、全方向に大きな打球を打てる良いバッティングの状態ということを示しているのかもしれない。

来シーズン、松井は、外角球への対応能力向上のために、何らかの工夫や対策をしてくるのでは。それは、ホームラン数増加にも欠かせない。外角球をレフト方向へホームランにするシーンが多く見られることを願っています。

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