ヤンキース松井秀喜バッティングArchives!?

~松井のワールドチャンピオンになるまでの軌跡を見つめていきます~

Hideki Matsui is on fire right now!!
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2004年、シーズン中盤、ミスを減らし打てる球を確実にヒットにする長年追い求めていたバッティングの感覚を掴んでいた。しかし、それはとても繊細で失いやすいものだとイチローは感じていた。

「あっ掴んだなと思うことは結構ある。何年もやっていれば何回もある。でも短い間で消えていってしまうこともたくさんある。一週間は良くてもその次の週は駄目でまた違うものを探してみたり、その繰り返しをするんですが。」

5月、6月と調子を落としていたイチロー。6月7日の試合、3打席凡退した後、イチローは自分のバッティングをビデオルームでチェックしたと言う。

「ポイントが全く取れていない。自分が打つべきポイントでボールを全く捉えられていない。」

最初の3打席、甘い球を捉え損ねたイチロー。試合中にビデオを見たのは、インパクトの瞬間に違和感を感じたからだった。

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「これは凄く際どくて、僕にとって難しい球であればしょうがない部分があるが、これはそうではないからね。どっかに見えるところに問題があるはずだと思った瞬間だった。右足の動き出しが物凄く遅い。右足が動かなかったら全部僕の動きは始まらない。右足ですべてが始まるので。それによってはすべての動きが遅れてくる。早くいく分には僕はグリップが絶対に残るバッターなので、そんなに問題にはならない。動き出しが遅れたということは、ボールを見ようとする意識が明らか。目で見ようとしている。」

右足の動き出しが遅いと気づいたイチロー。第4打席目は修正して臨んだ。

「この打席の時は、早く足を動かそうとしている。意識の中では。でも実際見てみるとそんなには早くなっていない。これは多分本来ならホームランにできるボールだけど。そんなに変わっていない。意識はしているが、足が動いてこない。悪い形になったものを直す難しさだね。これは。意識をしても体に染み付いた悪いものは、なかなか取れない。」

目ではなく体でボールを見極める。イチローは右足を意識しながら自分の形を取り戻そうとした。

6月11日の試合、ストライクゾーンを大きく外れたボールを振ったのは選球体が戻ってきた証拠だという。

「この時は動き出しが早く、ピッチャーからボールが離れてから、かなり長くボールを見れる状態になっている。何が悪いか分かれば、後は自分がプレーすれば結果はついてくる。そこには自信がある。」

今シーズン、イチローはホームラン数が増えた。これまで狙わないとホームランにはならなかったイチローには大きな変化だった。

「狙わないでホームランになることはあまり無かった。これまでの形だったら狙わなかったら絶対にホームランにはなっていない形。」

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ホームランが増えたのはフォームを修正したことにあった。右足が早く動き始めることで体のひねりが生まれパワーが引き出された。

「力を生んだわけではない。悪い時点から考えるとそう見えるかもしれないが、悪い時は力を自分で殺していた。狙わないでホームランを打った割合が増えて、ホームランを打てる可能性は広がったかもしれない。」

7月22日の試合。1球目のカーブに空振り。この空振りにベンチは渋い表情をした。

「あの時、100%真っ直ぐに絞っていた。しかし、カーブで左バッターの膝元に大きく落ちてくるボールだった。それを空振りしたのだが、バッターだったらおそらくそういうことって理解できると思う。100%真っ直ぐを狙っていてカーブが来た時に、とんでもない空振りをするということはよくあることなんですが、あれを当てにいくとまずい、それは凄くまずい。」

その後、2球目のストレートをホームランにする。1球目空振りしたことが2球目に活きた。

「1球目の空振りがあるということは、バッテリーは、真っ直ぐを待っているなと思うかもしれない。だけどピッチャーはカーブを投げてきた。で、ああいう形で空振りをしたから、だから次はカーブの意識も持つだろうなという判断がバッテリーにはある。だから、2球カーブは続けたくない。1球目だからあの空振りをしてくれたとバッテリーは思うかもしれない。じゃあ真っ直ぐでいこうという判断だったのだろう。1球見た球をイチローというバッターはインプットするという相手の判断があった。そこを僕はもちろん、この時考えていた。だからもう1球真っ直ぐを待った。それで心理戦に僕が勝った。」

8月調子を落としていたイチローは、相性の良いバーリーとの対戦で2安打し調子を取り戻した。

「相性のいいピッチャーからヒットが出ないとなると技術的に問題があるのかと考えかねない。ヒットが出て本当に良かった。」

過去5年で150本安打を達成するペースが一番遅かった。それでもイチローの200本を達成する自信が揺らぐことはなかった。

「200という数字に対して誰よりも強い気持ちを持っているという自信はあります。それを達成したいという気持ち、そこに行くんだという気持ち。イメージが出来ているという事ですかね。200のヒットに対してイメージできることが強み。」

9月30日、イチローはデビューから5年連続200本安打を達成。イチローは自らが持つメジャー記録を更新した。

「何かを達成した瞬間というのは、いつも"やった"という気持ちにはならない。ここ何年もずっと。どちらかというと、"あ~良かった"という気持ち。それは絶対にやらなくてはいけないことだとプレッシャーを与えているからだと思うのですが。そうなっちゃいましたね。」

今シーズンのイチローのヒットは206本。

「恐怖心だとか不安だとかそういう気持ちは抑えられなかったし、避けられなかった。それでも苦しい中でやらなくてはいけないという事を改めて知った。色んなストレスがあった中で200本と言うのが僕の中で唯一の支えでした。これがなかったらやってられないシーズンでしたね。」

昨シーズン、手にしたバッティングの感覚。206本のヒットを重ね、その感覚の確かさと実際にそれを打席で形にすることの難しさを知ったシーズンだった。

「感覚を失ったことはないですが、バッティングは常に動いているという事ですね。日々とは言わないが、ある時期が経つとなんかまた少しずつ変わっていかなくてはいけない自分がいたり、変わってはいけない部分が絶対あったり。動くんですよねバッティングというのは。これがバッティングは生き物である所以だと思います。これが難しいんですね、バッティングというのは。終わりがないというのもそういう所からきていると思うんですけど。常に意識をしているポイントというのが、常ににはならない。これをやっておけば大丈夫だというものが動いていくんです。それがバッティングだと僕は思っているんですけど。だから答えがないし終わりがない。」

5年連続200本安打、バッターイチローの誇り。

「力を出せば必ず到達できる。今年は力を出せなかったと思っているが、それでも超えていけた。ということは普通に力を出せれば、必ず到達できる数字という事ですね。僕にとっては。だから大きな自信になりました。これだけ思うようにヒットが出ない時期が続いた。それでも200を超えていけた。去年の262本のヒットで得た自信とはまた違う種類の自信ですよね。」

~NHK「日本人メジャーリーガーの群像」(12/25)より~

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